フィンチめがねホルダーを革でつくってみました

「フィンチめがね」というのをご存じでしょうか。鼻先にちょんと挟んでつかう小さなリーディンググラスのことです。ドラマで名探偵ポアロが手紙を読むときに胸ポケットからさっとだして掛ける、あのめがねです。最近はシンプルなデザインのものがネットで2千円程度で気軽に買えます。

フィンチめがね

家族からこのフィンチめがね用にレザーの首掛けホルダーを作ってほしいと頼まれました。このフィンチめがねはフレームレスで軽量な反面、首からさげたりすることができず不便だというのです。さっそく端材をつかって何点か試作してみました。

要件としては、

  1. 軽い(メガネ自体とても軽量にできているすぐれもの)
  2. さっと取り出しやすい
  3. ホルダーをさかさまにしてもメガネが落ちない
  4. 服装を選ばないカジュアルなデザイン

ということでした。ストラップはアクセサリー用の細い革ひも(黒)を再利用することに決め、ホルダーに革ひも通しベルトをつけることにしました。

試作その1

めがねより一回り大きいサイズで縦入れのポケットをつくりました。前と後ろ2枚の革それぞれコバ(切り口)を巾5㎜程度でヘリ返してから貼り合わせます。折り返した部分の革の厚みがマチとなり、ホルダーの内側に2㎜くらいの厚さの空間ができるようにしました。メガネも約2㎜厚なので、これならホルダー内で強く圧迫されることがないと思います。

試作1-1

裏側のポケット口は丸く切り欠きをいれ、めがねを指でつまんで出しやすくしました。

試作1-2

ストラップ通しはカシメで留めれば簡単なのですが、内側で金具とめがねを干渉させたくないので、ステッチ留めにしました。メガネは軽いのでこれでも強度は問題ないでしょう。

評価:

(1)軽さ:〇

首にかけていて全く気にならない軽さです。

(2)取り出しやすさ:×

めがねのレンズ部分を指でしっかりつままないと取り出せず、指紋がべったりついてしまいNGでした。思ったよりマチがしっかりとれなかったので、革との摩擦も強いままでした。

(3)さかさまにしても落ちない:〇

取り出しにくいということの裏返しで、さかさまにして軽く振っても落ちません。

(4)デザイン:△

全体的にシンプルな印象のデザインでよいのですが、コバのヘリ返しに手間がかかったわりには、仕上がりがいま一つの印象でした。

※カラー:水色 → 軽やかで、Tシャツ姿に合いそうですね。

試作その2

縦長のデザインのまま、めがねを上からではなくホルダーの長い方の辺に斜め上からさし入れるようにしてみることにしました。脱落防止のため、スリットはホルダーの上から3/4ほどまでの長さにします。

試作2-1

ヘリ返して貼り合わせるのはやめにして、コバを磨いて仕上げることにしました。使用している革はタンニンレザーです。

試作2-3

マチの厚さ2mm程度を取るため、表と同色の革2枚を貼り合わせたものを、ホルダーの中側になる部分をめがねの曲線にあわせて数字の3のようにカットし、それを表裏の革で挟んで内部に空間をつくりました。

試作2-2

ストラップ通しは試作1と同じ方法で取り付けます。

評価:

(1)軽さ:〇

(2)取り出しやすさ:△

改善しました。レンズ部分を大きくつまむ必要がなくなりました。スリットへの出し入れもおおむねスムースですが、少し大きく作りすぎてホルダーのなかでメガネが遊んでしまいます。サイズ要検討です。また、取り出しやすい反面、革の内側とメガネのレンズとの擦れが気になります。

(3)さかさまにしても落ちない:△

スリットをメガネの横幅より小さくした結果、通常使いなら落ちることはなさそうですが、ホルダー内の空間が大きすぎてめがねが中でかたかた動いてしまいました。

(4)デザイン:△

斜め上からスリットにさし入れする方法は首からかけた状態でも扱いやすいので採用です。コーナーのRを大きくとりすぎて外観が不自然になってしまいました。縦横のバランスも悪いです。

※カラー:キャメル → どんな服装にも合わせやすい、レザーの定番カラーです。

試作その3

試作2を元に、斜め出し入れのため少し余裕を持ちすぎていたサイズを修正しました。ホルダー内の空間とスリット幅を小さめに変更します。

レンズと革の内側の擦れを軽減するため、内側に薄い豚革のソフトレザーを貼ることにします。滑りがよくなる分、メガネが脱落しやすくなるため、スリット幅をメガネが斜めに出入りできるぎりぎりのサイズにしました。

試作3-1

マチは試作2同様、革芯でつくることにします。

評価:

(1)軽さ:〇

(2)取り出しやすさ:〇

さらに改善しました。出し入れがちょうどよいスリット巾になりました。メガネ自体、鼻部分がばねになっており伸縮する作りなので、少し抵抗があるくらいの方がかえって使いやすいということがわかりました。内装のソフトレザーのおかげで滑りも改善。

(3)さかさまにしても落ちない:〇

ホルダーの中にできた空間がめがねにジャストサイズで、メガネがしっかりグリップされて、中で遊ぶことがなくなりました。

(4)デザイン:〇

シンプルな長方形で、縦横のバランスがよくなりました。

試作3をそのまま使ってくれることになりましたので、内装のソフトレザーとストラップの革紐の色にあわせて、コバは黒に彩色して仕上げました。

※カラー:オレンジ → 黒とのコントラストでビビッドな感じに。

試作3-4
試作3-2
試作3-3

目的にあったものを、最初の設計でいきなり完成させるのはむつかしいものです。

もし仮に、これを商品化するとしたら、さらに数週間、試作品を実際に使ってみて、使い勝手や耐久性など確認してから、最終調整をして型紙を完成させます。

ものづくりは一筋縄ではいかないですね。

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