製作風景 はさみカバー(1) ~ 裁ちばさみカバー
4種類のはさみカバーの 製作工程を4回にわたり紹介します。
最初は、裁ちばさみカバーです。
洋裁・ソーイングには欠かせない裁ちばさみ用カバーの製作工程を紹介します。
一般的な約24センチサイズ用にレザー製のカバーを作りました。ずっしりと重みのある裁ちばさみは、刃の部分が大きいので、扱いに注意が必要ですね。
購入したときについている刃先のビニールカバーをそのまま使っていましたが、あまりにも頼りなく、レザーで作ってみました。それがとても使い勝手がよく、これこそレザーに向いていると思うようになり、商品化しました。
まず、形状です。一見、単純な形ですが、数パターン試した結果、現状の形となりました。
最初に作ったものは、中心のねじ部分ぐらいから下だけのもっとシンプルな形のカバーでした。購入時についていたビニールカバーと同じ形です。しかし、凹凸があり重みもある裁ちばさみをしっかりグリップできて、刃先だけではなく中心のネジ部分まで収まる形のほうが安定感がよく、カバーが外れにくいので、こちらの形を採用しました。平らなベースにドーム状のポケットをつけた形状にすることで、机などに置いたときにぐらつかないようにしました。
裁断以降の製作工程は、前回和ばさみとあわせて、ざっくりと紹介しましたが、今回はもう少しだけ詳しく紹介していきます。
1. パーツの裁断
必要となるパーツは4つです。ベース部分、中敷きとポケットには牛革を、ポケット裏には補強のため薄い豚革を使います。
2. 補強その1 布芯
ベースの革に布芯を貼りしっかりさせます。革にはアイロン圧着タイプの布芯は使えないので、さらし布にボンドを塗って貼りつけます。
3. 補強その2 中敷き
ベースに中敷きを貼ります。ポケットの内側になる部分は、貼り合わせた時に重ならないように一回り小さくしてありますが、さらにコバ(切り口)を斜めに漉いて厚みも抑えておきます。
4. 補強その3 豚革
ポケット裏に豚革を貼ります。豚革もコバ漉きをして周囲の厚みを取っておきます。貼る際には、ポケットがドーム状になるようにくせをつけながら貼ります。
はさみの刃先がくる先端部分は、型をつかってあらかじめ革にくせをつけておきます。こうすることで縫い目に直接はさみの先端が当たらず、耐久性が増し、はさみの収まりもよくなります。
5. 貼り合わせ
ポケットの差し入れ口と、ベースの頭部分はコバを磨いて仕上げておきます。
ポケットをベースに貼り合わせます。
6. 縫い合わせと仕上げ
ポケット革のはみ出た部分を切りそろえ、周囲をぐるっと目打ちします。
目打ち通りにステッチをして、コバを仕上げて完成です。コバを丁寧に磨くことで、貼り合わせた革が、まるで一枚の革のようにきれいに密着します。
次は和ばさみカバーを紹介します。
“製作風景 はさみカバー(1) ~ 裁ちばさみカバー” に対して1件のコメントがあります。